西光勝 被告
去年、大阪府枚方市で交際していた女子大学生を殺害した罪などに問われている男の裁判員裁判で、検察は21日、「計画的で極めて残忍な犯行で、強固な殺意があり、被害者の命より自分の見栄やプライドを優先し、動機は極めて身勝手で汲むべき事情はない」として、懲役22年を求刑しました。
また、求刑に先立ち、被害者の父親は、「本来であれば今年、成人式で一緒に酒を飲むはずだった。どんなに怖かったか、悔しかったかだけで気が狂いそう。私は絶対に許せない、死刑を望む」と、涙声になりながら訴えました。
無職の西光勝被告(27)は、2024年5月、大阪府枚方市のマンションの一室で、交際していた大学2年生の渡辺華蓮さん(当時19)を包丁で複数回刺すなどして殺害したうえ、渡辺さんのパソコンやスマートフォンを盗んだほか、盗んだスマートフォンを使って飲食代などを電子決済した罪に問われています。
これまでの裁判で、西光被告は起訴内容を認め、「華蓮さんが違う男性と幸せになるくらいなら、すべて終わらせたいと思った。無職であることや借金があることがバレたくなかった」などと述べていました。
■大手会社勤務とウソ…バーで数百万円の借金 裁判で明かされた経緯
西光被告の知人によりますと、2人は事件の約3か月前ごろから交際をスタートしましたが、大手の会社で働いていると渡辺さんにウソをついていたということです。
西光被告はバーなどのいわゆるツケ払いで、数百万円の借金をして困っていると男性に相談。その際に、「渡辺さんに借金やウソがバレるのが怖い」「別れたくない」「彼女を殺して自分も死ぬ」などと話していたということです。
■「同意の上で殺害した」とメモも…抵抗痕など50か所以上の傷 逃走のためパソコン売却も
西光被告は大阪市内のホテルで「ホテルの宿泊料金が払えない」などと警察に通報。駆け付けた警察官に対し、「睡眠薬を大量に飲んだ。人を殺した」などと話したことで一連の事件が発覚。その際、複数の手書きのメモを持っていて、殺害を認める内容や借金があったことに加え、「渡辺さんに借金があることを伝え、同意の上で殺害した」という趣旨の内容が書かれていたということです。
一方で、司法解剖の結果、渡辺さんの遺体には抵抗した際にできる傷など50か所以上の刺し傷が切り傷があったことなどが判明しています。
西光被告は事件後、渡辺さんのスマートフォンや部屋の鍵を持ち出していたほか、渡辺さんのパソコンも持ち出した上、枚方市内の買取店で数万円で売却し、その金をホテルの宿泊費などの逃走資金にあてていたといい、警察の調べに対し、「3000円くらいしか所持金がなかった。ホテルに泊まる金がなかったので、パソコンを売って現金にしようと思った」などと話していました。